池田町といえば、日本有数のワインの産地である。 池田ワインがここまでの知名度に至るまでには池田町民の熱血なる思いが沢山込められている。
昭和27年の第一次十勝沖地震(M8.1)があり、池田町は約12億円の被害を被り、それに加えその後2年間の冷害と凶作に苦しんだ。
町民は、この苦境からどうしたら脱することが出来るのかを必死に考えた。
もともと池田町の山野には山葡萄が実る環境であり、『葡萄の栽培なら池田でも出来るはず』という考えから、町内に多くある未利用の斜面地を使い、農業振興を深めるべく「葡萄愛好会」を立ち上げ、葡萄の栽培に踏み切った。しかし、はじめは上手くは行かなかった。十勝平野という典型的な大陸性気候なため冬場は放射冷却現象によって地表の熱が奪われ、積雪量も多くないため、より冷たい乾燥した風にさらされるのだ。初めから葡萄の木自体を斜めに植えることによって、一番重要になってくる冬期間は葡萄を全て土の中に埋めることができ、寒さと乾燥から葡萄を守るという方法を取るようになった。また池田町は、日照時間が長いことが多く、昼夜の気温の差が激しい。葡萄の成熟期である秋は、葡萄の糖度が上がり、糖と酸のバランスが安定してくることで、あの美味しい池田ワインが出来るのである。
のちに、池田町の山野に自生する山葡萄は、アムール川流域に自生し、ワイン製造に適している「アムレンシス」の亜種にあたることが明らかになった。現地でアムレンシスは、原料確保が不安定で2~3年に1度くらいしか仕込めない幻のワインと言われており、池田町民は、安定した原料供給を目指し『葡萄栽培』への意欲を掻き立てられた。その後、昭和39年には、池田町の山野に自生する山葡萄を使用した「十勝アイヌ山葡萄酒」が国際ワインコンクールで銀賞を獲得した。
山葡萄ばかりに減量を依存していても安定的なワイン製造には至らないと考え、独自品種の開発で北海道と気候条件が似ているヨーロッパからの苗木導入を行った。苗木はフランスで育成された『セイベル13053』を使用して何度もクローン選抜を行い出来たのが枝梢の登熟が良く、果房も多く、一つ一つが密着している『清見』が誕生した。更に交配に交配を重ね、母親の清見に似た『清舞』と父親の山葡萄に似た『山幸』が誕生した。双方とも耐寒性交配種のため、冬期間に土に埋めることによって果房が傷付いたりすることもカバーし、より良いワインができ、こうして今の池田のワインとなり成功を遂げた。
工場の裏側を見学すると沢山のぶどう畑が広がっている。また、『城』の中には、実際に貯蔵してあるワイナリーを見学することが出来る。また正門から入ると、昔ながらのドイツ製の葡萄圧搾機などが展示されてある。更に、1階の売店コーナーの奥には毎日違ったワインが無料で試飲することも出来る。私が行った時には『清見の丘』の白ワインが試飲でき、爽やかな酸味と後から来るフルーティーでほのかな甘みがあり、とても美味しかった。
是非、池田に来たら池田ワイン城に立ち寄ってみてはどうだろうか。運転手は飲むことができないのでご注意を。
スライドショーで見る池田ワイン城
池田ワイン城(池田町ブドウ・ブドウ酒研究所)
住所:北海道中川郡池田町字清見83
TEL:0155-72-2467
営業日:無休
料金:無料
ホームページ:http://www.tokachi-wine.com/
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